和紙のQ&A:厚手の和紙を破れないようにするには?

*****日本の和紙について分からない事にお答えする「和紙のQ&A」*****

 

これからブックカバーを作ろうとお考えの方からのご質問です。厚手と一口に言っても、紙質や厚みなどかなりの種類があるので断定はできませんが、弊社が考える厚手の和紙で考えますと、通常使用であれば簡単に破れることはありません。

破れにくい和紙のブックカバー

 

また和紙を強化する目的でよく「ニス(アクリル、ウレタンなど)は和紙に使えますか?」とご質問を頂くこともあります。手軽で使いやすいため、弊社でも用途によっては使うこともあります。

ただ、ブックカバ―など柔軟性が求められるものや、長く使い込んで味わいを楽しめるような使い方をするときにはオススメできません。その理由としては下記のようなことがあります。

 

  • 和紙本来の質感や手触りが損なわれる。
  • 経年劣化により、塗装面の剥がれや割れ、変色(黄変)が起こる可能性がある。
  • 被膜が形成されるため、その後のメンテナンスが行えなくなる。
  • 無加工の和紙に比べて表面の摩擦には強くなりますが、柔軟性が損なわれるのでワレや破れが起きやすくなる。

 

 

和紙を強化するには?

 

長く使えて、ご自身でメンテナンスもできる方法があるとすれば、とっても理想的ですよね。今回はその方法についてご紹介致します。

破れにくい和紙のブックカバーにするには、表面の摩擦強度、引き裂き強度を高める必要があります。それぞれの主な方法は下記の通りです。

 

表面の摩擦強化

和紙の強化

 

こんにゃく粉を水で溶いた液体「こんにゃく糊」を使います。こんにゃく粉はあの普段食べているこんにゃくの原料で、楽天などの通販サイトでも購入することが出来ます。茶色っぽい色合いのものや、精製した白いものがあり、どちらを使って頂いても構いません。

 

※参考記事

和紙の強さを高める紙衣加工!実験でその効果を確かめてみました。

 

 

***こんにゃく糊の作り方***

1.

水1リットルに対して、こんにゃく粉5gを入れてよく混ぜます。この時、特に30分位はこんにゃく粉が沈殿しないように気にしながら混ぜて下さい。失敗すると、沈殿したこんにゃく粉が底で固まったり、つぶつぶが溶け切らず残る場合があります。バケツなど大きな入れ物と、木の棒か、手動の泡だて器があると混ぜやすいです。こんにゃく粉が水に溶けていくと、徐々に粘度が増していくので、沈殿し難くなっていきます。そうなったら、たまにかき混ぜる程度で問題ありません。

 

2.

時間にすると大体1~2時間後に完全に溶け、粘度のある透明な液体「こんにゃく糊」が出来上がります。出来上がったこんにゃく糊を刷毛等を使って和紙の裏表にまんべんなく塗り、吊るして自然乾燥させます。乾燥後に手で揉んでシワを入れます。これを2~3回繰り返すことで、柔軟性があり摩擦にも強い加工和紙になります。
※水に溶いたこんにゃく糊は腐りやすいので、出来るだけ同日中に使い切るようにしてください。冷蔵庫に入れておくと、少しだけ日持ちします。
痛んでくると変なニオイがしたり、粘度が無くなりシャバシャバになっていきます。

 

***メンテナンス***

加工後の和紙を使用し続けていると、表面に毛羽立ち(和紙の繊維)が出てくることがあります。そんな時、全体にこんにゃく糊を塗るだけで毛羽立ちが抑えられ、その後また長く使えるようになります。

 

引き裂き強度強化

和紙が破れやすいのは、裁断された端の部分です。何度も擦れると繊維結合が弱くなり破れ易くなるので、端の部分は織り込んで表側に出さないようにします。織り込むことで厚みが出て、破れ難くなります。

その他、和紙の裏にアイロンで接着出来る薄地布を貼って補強する方法もあります。

 

※参考記事

【DIY ブックカバー】 模様作りからおこなう和紙ブックカバー 2柄

 

和紙のブックカバー

 

今回ご紹介した「こんにゃく加工」は、ブックカバー用途に限らず、和紙暖簾やメニューカバー、ランチョンマット、コースターなど、様々な用途にも使えます。
是非、試してみてくださいね。

 

和紙のQ&A:和紙の定義とは?

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耳付き手漉き和紙

 

和紙を定義するきっかけ

 

物事の内容や意味を他と区別できるように、明確に限定するときに用いる「定義」。
では「和紙の定義」とはいったいどんなものでしょうか。

そもそも「和紙」という言葉は、西洋から入ってきた洋紙と区別するためにつけられました。つまり当時「日本国内で手漉きされていた紙」が和紙の定義として最も古いものになります。

明治以降の改革で和紙の機械化が進められ、和紙原料以外にパルプ(洋紙の主原料)などの木材原料も使われるようになりました。そのため今度は「手漉き・機械漉き」「国産原料・海外産原料」「純粋な和紙原料のみを使用しているか」なども区別する必要が出てきたため、定義が時代背景や考え方よって徐々に変化していきました。

※和紙原料とは?:楮(こうぞ)・三椏(みつまた)・雁皮(がんぴ)の靭皮繊維(じんぴせんい)が主な原料です。そのほかにも、麻、わら、桑、竹なども使われることもあります。

 

紙糸入り和紙

 

弊社が考える定義

 

ちなみに、もしお客様から和紙の定義は?と聞かれたら「和紙原料を使って、日本国内で手漉き・機械漉きされた紙のこと」とお伝えします。もっと厳密にいえば「国産の和紙原料100%を使って、薬品など使わず(靭皮繊維を傷めずに)手漉き・機械漉きされた紙のこと」となります。機械漉きも元をたどれば、手漉き職人さんが作り上げたものだからです。

和紙の定義は捉え方や考え方によって人それぞれ異なります。
まずは「色んな考え方がある」ということを知って頂けたら嬉しいです。

和紙のQ&A:和紙のメリット・デメリットを教えて下さい。

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白い和紙

 

和紙について、知っているようで意外と知らない方もいるかもしれません。そこで今回は、代表的な和紙のメリット・デメリットについて、詳しくご紹介致します。
「和紙にこんな機能があったんだ!」と新たな発見があるかもしれませんよ。

 

和紙のメリット

 

  • 素材感の良さ
    長い繊維が絡み合って出来た和紙には、温かみのある表情や手触りの良さがあります。3大和紙原料「楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)」それぞれに特徴があり、見る人を和ませます。

 

  • 高耐久
    強靭な繊維を持つ和紙には、1000年以上の保存に耐えるものもあります。和紙の持つ柔軟性や経年による変化が少ないことから、国内外問わず、重要無形文化財や絵画の修理修復などにも使われています。

 

  • 染色や加工に耐えうる強靭さ
    和紙は水を含ませながら行う染めや折りなど、様々な加工が出来るので表現の幅が広がります。
    一方洋紙はパルプ原料を主をしているため繊維が短く、特に水を使った加工を行うとボロボロになります。

 

  • 紫外線・赤外線カット効果
    光が透過する際に和紙の繊維で乱反射がおこるため、「紫外線」を90%前後カットする効果があります。また、肌に感じる熱さの光線「赤外線」も80%前後カットするので、和室の障子は夏を涼しく過ごすため、理にかなっています。

 

  • 調湿・空気浄化作用
    和紙には湿気が多い時には吸収し、乾燥しているときには放出する自然の調湿効果があります。また、和紙繊維がフィルターの役割を果たし、花粉やホコリなどを吸着。消臭作用もあり、自然の力で快適な室内環境をつくります。

 

 

和紙のデメリット

 

  • 価格が高い
    原料が高価であること。下処理などにかかる手間や時間、洋紙のように量産が難しいことなどから、和紙は高価なものになります。ちなみに市場に出回っている安い和紙は、原料にパルプが多く使われた洋紙に近い和紙です。

 

  • 印刷などをした場合、色の発色が悪い
    和紙の白無地は真っ白ではなく、原料由来の生成り色(きなりいろ)の為、正確な色表現が難しいと言われています。またインクなどが染み込むため滲みやすく、細かな描写も不向きです。そんな中、現在では写真やポスター印刷に適した和紙も開発されており、海外のアーティストからも高い評価をうけています。ちなみに、レーザープリンターでは概ね綺麗に印刷出来ます。ただ、和紙は洋紙よりも紙粉(紙繊維)がでるため、トナー回収ボトルが通常よりも早く交換時期を迎える可能性があります。

 

  • カビや虫食いに弱い
    和紙に限ったことではありませんが、湿気の多い場所に長期間放置しておくとカビが発生する可能性があります。
    また、良質な原料で作られた和紙は害虫にとっても美味しいようで、虫食い被害にあうこともあります。風通しの良いところに保管したり、桐箱や桐たんすに入れておくと害虫予防になります。

 

和紙のQ&A:和紙同士の接着で、シワやベコベコにならずきれいに、かつ強力に接着できるものを探しています。

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手漉き和紙

 

和紙の厚さや種類、使用する接着剤によって変わるため、一概には言えませんが、簡易的であれば「スプレー糊」、最も安心なのは「障子糊(でんぷん系接着剤)」がよいです。素材については、和紙に似せた洋紙も出回っているので、使用する前に確認が必要です。

よく聞かれるボンドについては、見えない部分や厚手の和紙(塗っても裏面から染み出てこない厚さがあるもの)であれば問題ありません。

ただし、光沢が出て和紙の質感を損ねてしまったり、熱を発するランプシェード等に使用すると、縮みや変形の原因となり不向きです。もしランプシェードに使用する場合には、熱を逃すような作りにして、本体の和紙部分にも十分な厚さのものを使用すれば歪みにくくなります。

 

接着剤の種類と特徴について

 

和紙が波打ってしまう原因は「水分」です。
和紙は水分を吸収すると膨張し、乾くと縮まろうとします。

 

使用する和紙や接着剤の種類(含まれる水分量など)によって、波打ち度合は変わります。下記に一般的な4つの接着剤「スプレー糊・障子糊・スティック糊・ボンド」を使用する際の利点と欠点をまとめました。

 

スプレー糊

 

  • 利点
    広範囲を塗布することが出来る。
    商品の種類によって接着力の強度を選ぶことが出来る。

 

  • 欠点
    細かな部分の接着が不向き。
    経年により変色する可能性があり、貼り換えなども出来ない。

 

  • 貼り直し
    △(糊の種類によっては、可能なものもある)

 

 

障子糊(でんぷん系接着剤)

 

  • 利点
    濃度を調整することで、様々な用途に使える。
    水を与えることで、貼り換えなども可能。

 

  • 欠点
    乾くまで接着力が今一つ。
    濃度を水で調整できる反面、糊作りが大変。

 

  • 貼り直し
    ◎(霧吹きなどで水を与えることで剥がせる)

 

 

スティック糊

 

  • 利点
    水分量が少ないため、ベコベコになりにくい。

 

  • 欠点
    乾くまでの接着力が今一つ。
    広範囲を行う場合の作業性が悪い。

 

  • 貼り直し
    ×(一度乾いてしまうと剥がせない)

 

 

ボンド

 

  • 利点
    厚手や凹凸のある和紙でも強力に接着することが可能。

 

  • 欠点
    透明感が出て素材の良さが損なわれる。
    熱源のある場所に使用すると変形する可能性がある。
    粘度が高く乾燥も比較的早いため、広範囲に塗布する際には水や薄めた障子糊などを希釈する必要がある。

 

  • 貼り直し
    ×(一度乾いてしまうと剥がせない)

 

 

弊社では、でんぷん糊を主に使用していますが、作る物によってはボンドや混合糊(ボンドとでんぷん糊を混ぜたもの)を使うこともあります。

はじめて行う場合、まずは失敗してもよい和紙と、身近にある糊で試してみてください。失敗を恐れずおこなうことが良い経験になり、応用の仕方が学べます。ぜひ和紙と会話しながら、より良い方法を見つけて下さいね。

和紙のQ&A:和紙にも縦目横目はありますか?

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流し漉き(ながしずき)

 

和紙にも紙の目(縦目横目)は存在します。
縦目横目が出来る理由は洋紙と同じく、繊維が製造の過程で一定の方向に揃うためです。手漉き和紙には「流し漉き」と「溜め漉き」という製法があり、紙の目は「流し漉きのみ」現れます。

 

流し漉き(ながしずき)

 

漉き舟に入れた和紙の紙料液を簀桁(すけた)ですくって、縦横に動かし繊維を絡み合わせながら漉く方法。その際、余分な紙料液を簀桁の前面に勢いよく漉き舟に戻します。これを繰り返すことで、繊維が簀桁の縦方向に並び「紙の目」が出来ます。ただし、洋紙のようにはっきりとした紙の目ではない事が多いです。

繊維の絡まりが強く、使用する原料によっては薄くても強度のある紙を漉けます。均一でムラがなく、溜め漉きよりも枚数を漉けますが、技術を必要とする漉き方です。

 

溜め漉き(ためずき)

 

漉き舟に入れた和紙の紙料液を簀桁(すけた)の上に溜め、水分を自然と抜いて漉く方法。繊維の絡まりが弱いので、強度のある和紙や薄い和紙には向いていませんが、厚い和紙をつくるのに適した製法です。

和紙のQ&A:和紙の「裏表と見分け方」について教えて下さい。

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和紙の裏表と見分け方

 

和紙の裏表はなぜできる?

 

和紙を触ってみると、手触りの違いに気付きます。
通常、つるつるしている方が「表」、ざらざらしている方が「裏」になります。

この違いは和紙を乾燥する際に現れます。
手漉きの場合は、干し板に張り付け天日で乾かしたり、蒸気を用いた金属板に張り付けて乾かします。干し板や金属板に接している面が平滑(表面)になり、反対側が裏面になります。余談ですが干し板で天日乾燥して仕上げた和紙は、うっすらと木目が見て取れます。

機械漉きの場合は、ヤンキードライヤーという面白い名前の円筒型乾燥機で乾かします。こちらも金属面に接している面が平滑(表面)になります。

 

見分け方について

 

いつくか方法がありますが、最も分かりやすい2種類をご紹介致します。

 

  • 手触り
    もっとも一般的な方法です。和紙を親指を人差し指で挟んで、手触りを確かめます。そうすると片面はつるつる(表面)、もう一方はざらざら(裏面)しているのが分かります。
    ※和紙によって分かりやすいものと、そうでないものがあります。判断が付きにくい場合は、和紙をひっくり返してもう一度手触りを確認します。

 

  • 肉眼での観察
    和紙面に斜めから光(自然光で十分です)をあてて、観察します。両面を比べてみて、表面が荒く見える方が裏面です。
    ※分かりにくい場合は、光の当て方や光量を調節すると良いです。
    ※厚さのある和紙は、比較的見分けが付きやすいです。

 

和紙には裏表がありますが、表情の違いや好み・用途によって「表裏を逆に使ってみる」と和紙の表情をより一層楽しめます。是非試してみてくださいね。

和紙のQ&A:和紙と洋紙のはっきりとした違いを教えて下さい。また、洋紙はなぜ酸性紙にしているのですか?

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和紙と洋紙がどのようにして生まれたかを知ると、その違いがよくわかります。

 

和紙の誕生

和紙と洋紙の違い(和紙の繊維)

和紙の繊維

 

和紙の起源は中国で生まれた麻を原料とする紙です。
610年にその製紙技術が日本に伝わり、独自の文化によって「和紙」が生まれました。

中国と同様に、日本では筆と墨に適する紙が求められ、より美しく書き味のよい和紙の開発が進められました。

原料は楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)の靭皮(植物の外皮の下にある柔らかな内皮)繊維が使われています。繊維は長く強靭なため、薄くても強い紙が作れます。

 

洋紙の誕生

和紙と洋紙の違い(洋紙の繊維)

洋紙の繊維

 

中国で生まれた紙の製造法が西洋に伝わり、発展したものが洋紙です。
西洋では印刷の需要が拡大し、安定的に高品質な紙を量産できるよう改良が進められました。

主に水性インキに適する厚みや表面の滑らかさ、にじみの少なさが求められました。

原料はパルプ(針葉樹・広葉樹の幹を原料としたもの)のほか、用途に合わせて様々な薬品が使われています。繊維は短く細いですが、1本の木から原料が多くとれるので量産に向いています。

※参考記事

和紙の原料となる楮(こうぞ)1kgあたりからA4ほどの紙は何枚ほどできるのでしょうか?

 

和紙と洋紙の違い

 

それぞれの文化に合わせて進化したことで、和紙と洋紙に明確な違いが生まれました。まとめると下記のようになります。

 

  • 原料
    和紙(楮・三椏・雁皮)、洋紙(パルプ)

 

  • 紙質
    和紙(表面は荒く不均一)、洋紙(表面は滑らかで均一)

 

  • 繊維
    和紙(繊維が長く強靭)、洋紙(繊維が短い)

 

  • 量産
    和紙(不向き)、洋紙(容易)

 

  • 価格
    和紙(高価)、洋紙(安価)

 

※参考記事

和紙と洋紙の違いとは-第2回 「 和紙ってどんなもの? 」 編

 

なぜ洋紙は酸性紙なのか

 

酸性紙の原因となっていたのは、インクのにじみを防ぐために使用される薬品です。
ご存知の通り酸性紙は経年により紙がボロボロになってくるため、現在は改良された「中性紙」が主流となっています。

寿命に関しては保存状態にもよりますが、洋紙の酸性紙は約50~100年、中性紙は約300~400年といわれています。和紙は、最も古いものが正倉院に保管されている702年(大宝2 年)の美濃、筑前、豊前の戸籍用紙。つまり1300年以上も前のものです。

 

すべての和紙が長寿命なわけではない

 

和紙といっても、パルプを混合させたものや薬品を使ってコストを抑えたものもあります。当然ながら全ての和紙が長くもつわけではありません。

本物の和紙は薬品を一切使用せず、繊維を出来るだけ傷めないように原料処理され漉かれています。これらの和紙は経年により原料の葉緑素がぬけ、白くなっていくことも特徴の1つ。主に、重要無形文化財や絵画の修理修復に使われています。

※参考記事

修理修復用紙を漉いている悠久紙(五箇山和紙)見学に行ってきました。

10年以上張り替えいらずの障子紙!本物の和紙はこんなにも違う

 

弊社では用途に合わせた和紙をご提案・販売しております。
もしご不明な事がありましたらご遠慮なくお問い合わせください。

和紙のQ&A:和紙の原料となる楮(こうぞ)1kgあたりからA4ほどの紙は何枚ほどできるのでしょうか?

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和紙の原料となる楮(こうぞ)

和紙の原料となる楮(こうぞ)

 

A4用紙の種類にもよりますが、一般的な上質紙(コピー用紙・化学パルプ100%使用・重量は1枚あたり約4g程)を想定してお応え致します。

結論からいうと、楮(こうぞ)原料1㎏から、A4紙が10枚程作れます。
楮の原木を100とすると、使用出来るものは僅か4%といわれています。どれくらい少ないかというと、洋紙原料の木材パルプの場合は、原料100に対して90~95%。純度の高い化学パルプの場合は50%程が残るそうです。

つまり同じ原料の重さから、化学パルプだとなんと125枚程のA4紙が作れる計算です。強靭な繊維を持ち、耐久性の高い和紙の貴重さが分かりますね。

 

和紙のQ&A:習字に使われている半紙は純粋な和紙ですか?

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書道半紙

 

今では100均でも売っている半紙。えっなんでそんなに安いの?と疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
一言で和紙といっても、原料や配合率、製法などによって様々なものがあります。和紙の定義が無いに等しいため「習字に使われる半紙が純粋な和紙か」を判断するのは簡単なことではありません。

そこで今回は、半紙の種類についてまとめました。
種類が分かるだけでも、購入の際に参考になりますよ。

 

半紙の種類一例

 

主な産地:

高知、愛媛、静岡(改良半紙は愛媛、静岡)

 

半紙の種類:

  • 機械漉きパルプ半紙(円網み-まるあみ)
    表面がつるつるとしていて墨がかすれ難い。大量生産が可能で安価なため、主に学童や初心者用として使われる。100均の半紙はほとんどがこのタイプ。

 

  • 機械漉きパルプ半紙-模造半紙(短網-たんもう)
    表面が手漉き和紙のような風合い。程よく墨のかすれや滲みが出るなど、和紙に書き味も似ていることから、一般的な練習用に使われることが多い。

 

  • 漢字用半紙(手漉き半紙・機械漉き)
    やや厚手で、表面が少々ざらつきのある風合い。原料は楮・三椏・雁皮・ワラ・パルプなど。配合や組み合わせが様々あり、書き味やにじみ具合が異なる。

 

  • かな用半紙(手漉き・機械漉き)
    雁皮を主原料とした薄手で、表面がなめらかで光沢がある和紙。そのほかにも楮・三椏・雁皮・マニラ麻・ワラ・パルプ等を混合させたものがあり、組み合わせによって風合いや価格が異なる。

 

  • 改良半紙(手漉き・機械漉き)
    三椏を原料とする薄手の和紙。

 

半紙にはパルプが主原料の和紙風のものから、純粋な和紙の半紙まで、様々な種類があることをお分かり頂けたかと思います。見分け方は非常に難しいところですが、一つの目安として「値段」があります。書き味も異なる事から、可能であれば試し書きされる事をおすすめ致します。

皆さんが必要としたときに、一番求めている和紙をお買い求め頂けたら幸いです。

和紙のQ&A:和紙の耐久年数は何年くらいでしょうか?

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製作風景(悠久紙・五箇山和紙)

 

日本で最も古い和紙は何年前の物がご存知でしょうか。
正解は、なんと1300年以上。漉かれたのは702年(大宝2年)で、正倉院に保管されている美濃国(岐阜県南部)、筑前国(福岡県西北部)、豊前国(福岡県東半部と大分県北部)で漉かれた戸籍用紙です。

 

楮原料(悠久紙・五箇山和紙)

 

そんな事から「和紙は1000年もつ」と言われていますが、実際には全ての和紙がそれだけの長い年月もつわけではありません。和紙の耐久性を大きく左右するポイントは2つあります。

 

  • どの様な原料を使用し、どの様な処理を行って漉かれた和紙なのか。
  • 保存・使用環境

 

良質な和紙は経年に強い

 

弊社でも取り扱っている「灰煮障子紙」使った障子は、10年経っても変色や破れがありませんでした。少なからず紫外線の影響は受けているとは思いますが、見た目の変化がないのにはビックリです。
長持ちする和紙には、主に下記の3つの特徴があります。

 

  • 化学薬品を一切使わないため、和紙繊維が傷んでいない
  • 和紙原料100%で漉いている(パルプなどを使わない)
  • 国内原料を使用している(日本の原料は強靭な繊維を持ち、品質が安定している)

 

100年前の大福帳(悠久紙・五箇山和紙)

 

長期保存を想定し、原料の選定から加工方法にこだわった良質な和紙。そして良い使用環境であれば、1000年の年月にも耐えられるのです。ちなみに文化財の修理修復で使用する様な和紙は、「いつ・どこで・誰が・どの様な原料を使って・どの様に処理して漉いたのか」を記録として残し、必要な時に手に入れられるようにしています。

 

和紙の保存の天敵

 

保存・使用環境はとても重要です。例えば、常に太陽光にさらされているような障子紙などは、紫外線などの影響から劣化が進みやすいといえます。

 

  • 湿気・水気
    カビなどの恐れがある。
  • 紫外線
    劣化が進みやすい。

 

和紙には、安価なお土産用から長期保存を目的としたものまで様々なものが出回っています。一概にすべてが長持ちするというわけでは無いので、用途に合わせて最適な和紙を選んで下さい。

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