和紙のQ&A:鳥の子紙の耐久年数はどれくらいでしょうか?
2017年06月13日
*****日本の和紙について分からない事にお答えする「和紙のQ&A」*****
紙の色が鶏卵(淡黄色)に似ていることが語源の「鳥の子紙」。大切な作品を長く保存したいとお考えの方は、鳥の子紙の原料選びが非常に重要です。今回は、長期間の保存に適した鳥の子紙の選び方をご紹介します。
主な用途や産地
- 主な用途
書画、日本画、短冊や色紙、表装など - 主な産地
福井県(越前和紙)、兵庫県(名塩和紙)など
手漉き・機械漉きの区別
鳥の子紙は、伝統的な手漉きでつくられる「本鳥の子」、機械漉きでつくられる「鳥の子」で区別されています。
- 本鳥の子(手漉き)
特号紙・一号紙・二号紙・三号紙・四号紙 - 鳥の子(機械漉き)
二号紙・三号紙・四号紙・上新鳥の子・新鳥の子
原料と価格の目安
鳥の子といっても、使用する原料や配合、手漉き・機械漉きかで価格も異なります。価格はあくまで目安となりますので、参考までにご覧ください。
- 特号紙(雁皮のみ)約¥14,000前後
- 一号(雁皮と三椏の混合)約¥8,500前後
- 二号(三椏のみ)約¥6,600前後
- 三号(三椏と木材パルプの混合)約¥3,000前後
- 四号(マニラ麻と木材パルプの混合)約¥2,700前後
- 上新鳥の子(木材パルプ)約¥500前後
- 新鳥の子(木材パルプと古紙)約¥300前後
鳥の子紙の耐久年数
長期保存をお考えの場合は、本鳥の子(手漉き)かつ、和紙原料である雁皮や三椏のみを使った「特号紙・一号・二号」の中からお選びいただくことをおすすめいたします。
ただし、和紙の耐久性は、原料の産地や製造時に薬品処理の有無、そして保管環境など様々な要素に大きく左右されます。一概に「何年持つ」と断言することは難しいですが、良質な鳥の子紙と適切な保管環境下であれば、長期間にわたってその美しさを保つことができます。もしご不明なことが御座いましたら、ご遠慮なくお問合わせください。
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著者/この記事を書いた人
浅倉紙業株式会社(Asakurashigyo Corporation)
浅倉敏之
石川県金沢市にある明治30年(1897年)創業の和紙専門店です。自社工房で制作する染色・創作和紙をはじめ、和紙インテリア製品や和紙小物など、幅広い和紙製品を取り扱っています。お客様のご要望に合わせたオリジナル製品の企画・制作も承っております。詳しくはこちらの記事をご覧ください。