和紙のQ&A:和紙の原料はなんですか?
2018年04月20日
*****日本の和紙について分からない事にお答えする「和紙のQ&A」*****
指でそっと触れると、その滑らかな肌触り。光を透過させると、浮かび上がる繊細な模様。約1400年の歴史がある和紙は、私たちの五感を優しく刺激してくれます。一体、どんな原料から作られているのでしょうか?
和紙の主な原料
古くから和紙の原料として使われてきたのは、主に以下の植物の繊維です。これらの植物の靭皮繊維(じんぴせんい)が和紙の原料となります。靭皮繊維は、植物の構造を支え、外部からの刺激から守るために繊維質が強く発達しています。
- 楮(こうぞ)
クワ科の植物。栽培が容易で生産量が多く、和紙の原料として最も一般的です。繊維が長く強靭で、薄くて強い和紙を作るのに適しており、障子紙や表具用紙、美術紙、奉書紙など、幅広い用途に使われています。
- 三椏(みつまた)
ジンチョウゲ科の植物。繊維が細く柔軟で光沢があり、印刷適性が高いのが特徴です。「局納みつまた」として大蔵省印刷局に納入され、世界一の品質を誇る日本銀行券(紙幣)の原料として用いられています。その他、金銀箔の保管に必要不可欠な「箔合紙」などにも使用されています。
- 雁皮(がんぴ)
ジンチョウゲ科の植物。繊維は細く短く、光沢がある優れた原料です。楮や三椏に比べて発育が遅く栽培も難しいため、野生のものを採取して使用しています。主に、金銀箔を打ちのばす箔打ち紙や、襖の下貼り用の間似合紙(まにあいし)などに使用されています。
その他の原料
上記のほかに和紙の用途に応じて麻、桑、ワラ、竹なども使用されます。また、現在の日本では「和紙の定義」が広く、本来洋紙の原料である木材パルプなども和紙原料として含まれています。
和紙は、古来から受け継がれてきた日本の伝統工芸品です。その原料となる植物は、長い年月をかけて人々と共に育まれてきました。和紙の原料を知ることで、和紙に対する理解が深まり、その美しさをより一層楽しむことができるでしょう。
※参考記事
国産と海外産の三椏比較写真ともに、日本のお札が洗濯しても破れない理由を解説。
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著者/この記事を書いた人
浅倉紙業株式会社(Asakurashigyo Corporation)
浅倉敏之
石川県金沢市にある明治30年(1897年)創業の和紙専門店です。自社工房で制作する染色・創作和紙をはじめ、和紙インテリア製品や和紙小物など、幅広い和紙製品を取り扱っています。お客様のご要望に合わせたオリジナル製品の企画・制作も承っております。詳しくはこちらの記事をご覧ください。