和紙のQ&A:和紙が洋紙よりも水に強い理由は何ですか?

*****日本の和紙について分からない事にお答えする「和紙のQ&A」*****

 

国産楮100%を使った障子紙

 

和紙が水に強いという特徴は、他の紙にはない魅力の一つです。では、一体なぜ和紙は水に強いのでしょうか?その秘密を探るべく、和紙の構造や製造過程を見ていきましょう。

 

和紙の構造がもたらす強さ

 

和紙は、主に楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)などの植物繊維を原料として作られます。これらの繊維は、洋紙の原料と比べて非常に長く、互いに複雑に絡み合うことで、和紙に高い強度と柔軟性を与えているのです。

 

製造過程における水の役割

 

和紙の製造過程において、水は重要な役割を果たしています。植物繊維は水と親和性が高く、水に浸けると繊維が膨潤します。十分水を吸わせた繊維で和紙を漉き、乾燥させると、繊維同士が水素結合します。この水素結合は、個々の結合は弱いものの、無数の繊維が複雑に絡み合い結合することで、丈夫な和紙ができるのです。

 

和紙が水に強い理由をまとめると

 

  • 長い繊維の複雑な絡み合い
    和紙の繊維は、互いに複雑に絡み合い、強固な構造を形成します。

 

  • 水の働きによる繊維の結合
    製造過程で水素結合が形成され、繊維同士が複雑に絡み合うことで、強固な構造を形成します。

 

これらの要素が組み合わさることで、和紙は洋紙に比べて水に強い紙になるのです。一方、洋紙は主に木質パルプを原料とし、繊維が短いため、和紙ほどの水素結合は形成されません。和紙の耐水性については、古くから伝わるエピソードからも裏付けられています。こちらの記事で、その一例をご紹介しています。ぜひご覧ください。

和紙の持つ自然な風合いと高い耐久性は、現代においても様々な分野で活用されています。和紙についてご質問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

 

 

和紙のよくある質問 一覧へ戻る

 



著者/この記事を書いた人

浅倉紙業株式会社(Asakurashigyo Corporation)
浅倉敏之

石川県金沢市にある明治30年(1897年)創業の和紙専門店です。自社工房で制作する染色・創作和紙をはじめ、和紙インテリア製品や和紙小物など、幅広い和紙製品を取り扱っています。お客様のご要望に合わせたオリジナル製品の企画・制作も承っております。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

お問い合わせ