和紙のQ&A:和紙と洋紙の違いが分かりにくいのはなぜですか?
2017年09月25日
*****日本の和紙について分からない事にお答えする「和紙のQ&A」*****
「和紙」と「洋紙」。どちらも私たちの生活に欠かせない紙ですが、この二つを明確に区別できる人は意外と少ないのではないでしょうか。和紙専門店やホームセンターなどで紙製品を選ぶ際に「和紙」と書いてある商品を見かけても、それが一体どこがどう違うのか、疑問に思ったことはありませんか?
実はこれ、和紙に日々触れている弊社でも判断に迷うものがあります。それはなぜかというと、現在の日本における和紙の定義があいまいだからです。一般的な定義の指針として、日本工業規格(JIS)では「和紙」を以下のように定義しています。
我が国で発展してきた特有の紙の総称。手漉き和紙と機械漉き和紙とに分類される。本来は、コウゾ、ミツマタ、ガンピなどの靭皮繊維にねりを用い、手漉き法によって製造された紙を指したが、近年では、パルプを原料として抄紙機で抄造されたものも含む。
(紙・板紙及びパルプ用語(JIS P0001)1998年より)
この定義をみると、かなり幅広い範囲をカバーしていることがわかります。つまり、手漉き・機械漉きに関わらず、和紙原料100%で漉かれた紙も、洋紙原料の紙も、そして両者を混ぜて漉かれた紙も、ひとくくりに「和紙」と呼んでも問題ないとされています。
実際に市場では、伝統的な和紙の特徴とは異なる製品が「和紙」として流通しています。そのため、もし目の前にある「和紙」が、洋紙の要素を多く含んでいる場合、見ても触っても、和紙と洋紙の違いが分からないのは不思議なことではないのです。
和紙の定義や、弊社が考える和紙の定義については、こちらの弊社ブログ記事で詳しく解説しています。とても興味深い内容ですので、ぜひご覧ください。
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著者/この記事を書いた人
浅倉紙業株式会社(Asakurashigyo Corporation)
浅倉敏之
石川県金沢市にある明治30年(1897年)創業の和紙専門店です。自社工房で制作する染色・創作和紙をはじめ、和紙インテリア製品や和紙小物など、幅広い和紙製品を取り扱っています。お客様のご要望に合わせたオリジナル製品の企画・制作も承っております。詳しくはこちらの記事をご覧ください。