和紙のQ&A:和紙にも縦目横目はありますか?

*****日本の和紙について分からない事にお答えする「和紙のQ&A」*****

 

流し漉き(ながしずき)

流し漉き

 

日本の伝統的な和紙。その魅力は独特の風合いや質感にあります。そんな和紙ですが、実は洋紙と同じように紙の目(縦目と横目)が存在します。

 

なぜ縦目と横目が生まれるの?

 

紙の目が生まれる理由は、製造過程で繊維が一定方向に揃うためです。これは洋紙も和紙も同じです。

手漉き和紙には大きく分けて「流し漉き」と「溜め漉き」という2つの製法があります。紙の目は、このうち「流し漉き」によって作られた和紙にのみ現れます。

 

紙漉き2つの技法

 

流し漉き(ながしずき)

 

漉き舟に入れた和紙の紙料液を簀桁(すけた)ですくって、縦横に動かし繊維を絡み合わせながら漉く日本固有の方法。その際、余分な紙料液を簀桁の前面に勢いよく漉き舟に戻します。これを繰り返すことで、繊維が簀桁の縦方向に並び「紙の目」が出来ます。ただし、洋紙のようにはっきりとした紙の目ではない事が多いです。

繊維の絡まりが強く、使用する原料によっては薄くても強度のある紙を漉けます。均一でムラがなく、溜め漉きよりも枚数を漉けますが、技術を必要とする漉き方です。

 

溜め漉き(ためずき)

 

漉き舟に入れた和紙の紙料液を簀桁(すけた)の上に溜め、水分を自然と抜いて漉く方法。繊維の絡まりが弱いので、強度のある和紙や薄い和紙には向いていませんが、厚い和紙をつくるのに適した製法です。この製法の場合、繊維が様々な方向に絡み合うため、紙の目はできません。

 

まとめ

 

今回は、和紙の紙の目についてご紹介しましたが、和紙の世界はまだまだ奥が深いです。和紙のことをもっと深く知りたい方は、ぜひ下記の質問一覧ページをご覧ください。和紙の歴史や選び方、保管方法など、役立つ情報がたくさんあります。

 

 

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著者/この記事を書いた人

浅倉紙業株式会社(Asakurashigyo Corporation)
浅倉敏之

石川県金沢市にある明治30年(1897年)創業の和紙専門店です。自社工房で制作する染色・創作和紙をはじめ、和紙インテリア製品や和紙小物など、幅広い和紙製品を取り扱っています。お客様のご要望に合わせたオリジナル製品の企画・制作も承っております。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

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