和紙のQ&A:和紙の「裏表と見分け方」について教えて下さい。
2017年07月31日
*****日本の和紙について分からない事にお答えする「和紙のQ&A」*****
和紙には、製造過程で生まれる「表」と「裏」があります。それぞれに特徴があり、用途によって使い分けることができます。この記事では、和紙の裏表を簡単に見分ける2つのポイントをご紹介します。
和紙の裏表はなぜできる?
和紙を触ってみると、手触りの違いに気付きます。一般的に、ツルツルしている面が「表」、ザラザラしている面が「裏」になります。この違いは、和紙を乾燥させる工程で生まれます。
- 手漉き和紙の場合
干し板に張り付けて天日で乾燥させたり、金属板に張り付けて蒸気で乾燥させたりします。乾燥の際に、板や金属板と接していた面がツルツルになり、反対側がザラザラになります。ちなみに、干し板で天日乾燥させた和紙には、うっすらと木の模様が見えるようになります。
- 機械漉き和紙の場合
「ヤンキードライヤー」という面白い名前の円筒型乾燥機で乾かします。こちらも金属面に接している面がツルツルになります。
和紙の裏表の見分け方
見分け方はいくつかありますが、ここでは最も一般的な2つの方法をご紹介します。
- 手触りで確認する
最も簡単な方法です。和紙を親指を人差し指で挟んで、手触りを確かめます。そうすると片面はツルツル(表面)、もう一方はザラザラ(裏面)しているのことが分かります。
※和紙の種類によっては、表裏の差が分かりにくいものもあります。判断が付きにくい場合は、和紙をひっくり返してもう一度手触りを確認します。
- 光を当てて確認する
和紙に斜めの角度から光(自然光で十分です)を当てて、表面を観察します。
両面を比べて、表面が荒く見える方が裏面です。
※分かりにくい場合は、光の当て方や光量を調節すると良いです。
※厚さのある和紙は、比較的見分けが付きやすいです。
和紙の表面と裏面、どちらに書くべき?
一般的に、和紙に文字を書く際は、滑らかな触感の表面(ツルツル面)に書くことが多いです。墨のノリもよく、滑らかな書き心地で、美しい文字が書けます。もし印刷で使用する時も、表面を印刷面として使います。
裏面は、少しざらついた質感で、筆のタッチがダイナミックに出やすいのが特徴です。墨が少し滲むことで、味わい深い雰囲気に仕上がることもあります。そのため、あえて裏面に書くことで、独特の風合いを楽しむ方もいらっしゃいます。
とくに裏面に書いたからといって、礼儀的に失礼ということはありませんので、お好みでお選びください。もし迷った場合は、表面(ツルツル面)で書いてください。
今回の記事が、あなたが和紙を使う際の一助になれば幸いです。
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著者/この記事を書いた人
浅倉紙業株式会社(Asakurashigyo Corporation)
浅倉敏之
石川県金沢市にある明治30年(1897年)創業の和紙専門店です。自社工房で制作する染色・創作和紙をはじめ、和紙インテリア製品や和紙小物など、幅広い和紙製品を取り扱っています。お客様のご要望に合わせたオリジナル製品の企画・制作も承っております。詳しくはこちらの記事をご覧ください。