和紙のQ&A:習字に使われている半紙は純粋な和紙ですか?
2017年07月14日
*****日本の和紙について分からない事にお答えする「和紙のQ&A」*****
今では100均でも売っている半紙。えっなんでそんなに安いの?と疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は和紙と言っても、原料や配合率、製法などによって様々なものがあります。ご質問の「習字に使われる半紙が純粋な和紙か」という問いに対する答えは「純粋な和紙もあるし、そうではないものもある」となります。
そこで今回は、半紙の種類についてまとめました。
種類が分かるだけでも、購入の際に参考になりますよ。
主な産地
- 高知県(土佐和紙)
- 鳥取県(因州和紙)
- 島根県(石州和紙)
- 愛媛県(伊予和紙)
半紙の種類
- 機械漉きパルプ半紙(円網み-まるあみ)
表面がつるつるとしていて墨がかすれ難い。大量生産が可能で安価なため、主に学童や初心者用として使われる。100均の半紙はほとんどがこのタイプ。
- 機械漉きパルプ半紙-模造半紙(短網-たんもう)
表面が手漉き和紙のような風合い。程よく墨のかすれや滲みが出るなど、和紙に書き味も似ていることから、一般的な練習用に使われることが多い。価格は円網みよりも少し高い。
- 漢字用半紙(手漉き半紙・機械漉き)
やや厚手で、表面が少々ざらつきのある風合い。原料は楮・三椏・雁皮・ワラ・パルプなど。配合や組み合わせが様々あり、書き味やにじみ具合、価格が異なる。
- かな用半紙(手漉き・機械漉き)
雁皮を主原料とした薄手で、表面がなめらかで光沢がある和紙。そのほかにも楮・三椏・雁皮・マニラ麻・ワラ・パルプ等を混合させたものがある。配合や組み合わせが様々あり、書き味やにじみ具合、価格が異なる。雁皮のみを使用したものは高価。
- 改良半紙(手漉き・機械漉き)
三椏を主原料とする薄手の和紙。配合や組み合わせが様々あり、書き味やにじみ具合、価格が異なる。
半紙にはパルプが主原料の和紙風のものから、純粋な和紙原料で作られたものまで、実に様々な種類があることをお分かりいただけたかと思います。見分け方は非常に難しいところですが「価格」は一つの目安になるでしょう。また、書き味も大きく異なるため、可能であれば試し書きされる事をおすすめします。
和紙に興味を持たれた方は「そもそも和紙とは?」と疑問に思われるかもしれません。こちらの記事では、和紙と洋紙の違いや、和紙の定義について詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
皆さんが必要としたときに、一番求めている和紙をお買い求め頂けたら幸いです。
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著者/この記事を書いた人
浅倉紙業株式会社(Asakurashigyo Corporation)
浅倉敏之
石川県金沢市にある明治30年(1897年)創業の和紙専門店です。自社工房で制作する染色・創作和紙をはじめ、和紙インテリア製品や和紙小物など、幅広い和紙製品を取り扱っています。お客様のご要望に合わせたオリジナル製品の企画・制作も承っております。詳しくはこちらの記事をご覧ください。