和紙の強さを高める紙衣加工!実験でその効果を確かめてみました。

和紙の強化方法として、昔から「紙衣(かみこ)」加工というものがあります。
作り方は様々ですが、主に和紙を糊で重ね合わせて厚くし、こんにゃく糊や柿渋などを塗っては揉むことを何度も繰り返して作ります。この加工によって、和紙には強度や簡易防水・防虫効果が付加されます。今回の記事では、紙衣加工による強さの一端を、実際の実験結果を交えてご紹介します。

 

本記事を書こうと思ったきっかけ

 

私たちは今まで様々な和紙に触れながら、紙衣加工を行ったり、加工後の和紙の強度がどれくらい向上したか実感してきました。しかしインターネットで調べても、紙衣の強さを示す写真が見当たらないことに気づきました。そこで、私たちは自分たちが得た知見を目に見える形で、皆さんにお伝えしたいと考えました。

 

紙衣加工の摩擦強度結果

 

下記資料は、約10年前に工業試験場で実際に行った試験結果の一部を示したものです。試験では摩擦堅ろう度試験機を用いて、試験片を摩擦用布で一定の荷重をかけて往復摩擦させました。
摩擦は和紙が乾燥した状態と、水分を含んだ状態の2種類で行いましたが、ここでは違いの分かりやすい湿った状態のみご紹介します。

 

  • 素材:厚手の和紙(楮、パルプ混合)
  • 種類:揉み和紙、紙衣加工した和紙、Kamiwaza使用和紙(紙衣加工の強化版)

 

Kamiwaza 和紙製IDカードケース(ヨコ型)
Kamiwaza 和紙製IDカードケース(タテ型)
Kamiwaza 和紙製パスケース(タテ型)
Kamiwaza 和紙製の名刺入れ

 

おもり無し100往復の試験(濡れ)

 

予め水揉みをして乾燥させた揉み和紙と、同じ和紙に紙衣加工を施した和紙の2種類で試験しました。

 

【揉み和紙】

水揉みのみの摩擦試験結果/おもり無し100往復の試験(濡れ)

全体的に、こより状のめくれが発生しました。

 

【紙衣加工を施した和紙】

紙衣加工済み和紙の摩擦試験結果/おもり無し100往復の試験(濡れ)

よく見ないと分からないレベルで、こより状のめくれが発生しました。

 

おもり有り50往復の試験(濡れ)

 

予め水揉みをして乾燥させた揉み和紙と、同じ和紙に特別な紙衣加工を施したKamiwaza使用和紙の2種類で試験しました。この試験では、摩擦させる器具に一定荷重をかけていますので、先ほどの試験よりも厳しい条件です。揉み和紙だけが大きくめくれが発生したので、50往復で試験をストップしました。

 

【揉み和紙】

水揉みのみの和紙の摩擦試験結果/おもり有り50往復の試験(濡れ)

全体的に、こより状のめくれが大きく発生しました。

 

【特別な紙衣加工を施した和紙(Kamiwazaで使用している和紙)】

Kamiwaza(紙衣加工和紙)の摩擦試験結果/おもり有り50往復の試験(濡れ)

若干艶は出たものの、表面に変化はありませんでした。

 

紙衣加工を施した和紙の強度は、ベースとなる和紙の原料や厚みだけでなく、加工回数によっても大きく変わります。加工を増やすことで強度は増しますが、ごわつく等しなやかさが損なわれる傾向があります。

 

紙衣を使用している主な弊社商品

 

下記は、紙衣を使用している弊社の主な商品例です。
素材としての販売やオーダーメイドも承っております。ご用途やご予算に合わせてご提案しておりますので、何かございましたらお気軽にお問合せください。

 

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