和紙のQ&A:和紙の耐久年数は何年くらいでしょうか?

*****日本の和紙について分からない事にお答えする「和紙のQ&A」*****

 

日本で最も古い和紙は何年前の物がご存知でしょうか。
正解は、なんと1300年以上。漉かれたのは702年(大宝2年)で、正倉院に保管されている美濃国(岐阜県南部)、筑前国(福岡県西北部)、豊前国(福岡県東半部と大分県北部)で漉かれた戸籍用紙です。

 

そんな事から「和紙は1000年もつ」と言われていますが、実際には全ての和紙がそれだけの長い年月もつわけではありません。
和紙の耐久性を大きく左右するポイントは2つあります。

 

■どの様な原料を使用し、どの様な処理を行って漉かれた和紙なのか。

■保存・使用環境

 

~良質な和紙は経年に強い~

弊社でも取り扱っている灰煮障子紙使った障子は、10年経っても変色や破れがありませんでした。少なからず紫外線の影響は受けているとはおもいますが、見た目の変化がないのにはビックリですね。長持ちする和紙には

■化学薬品を一切使わないため、和紙繊維が傷んでいない

■和紙原料100%で漉いている(パルプなどを使わない)

■国内原料を使用している(日本の原料は強靭な繊維を持ち、品質が安定している)

という特徴があります。

 

長期保存を想定し、原料の選定から加工方法にこだわった良質な和紙。そして、良い使用環境であれば1000年の年月にも耐えられるのです。
文化財の修理修復で使用する様な和紙は、「いつ・どこで・誰が・どの様な原料を使って・どの様に処理して漉いたのか」を記録として残し、必要な時に手に入れられるようにしています。

 

~和紙の保存の天敵~

保存・使用環境はとても重要です。
例えば、常に太陽光にさらされているような障子紙などは、紫外線などの影響から劣化が進みやすいといえます。

■湿気・水気:カビなどの恐れがある。

■紫外線:劣化が進みやすい。

 

和紙には、安価なお土産用から長期保存を目的としたものまで様々なものが出回っています。
一概にすべてが長持ちするというわけでは無いので、用途に合わせて最適な和紙を選んで下さい。

和紙のQ&A:手漉き・機械漉き和紙で値段が違うのは何故ですか?

*****日本の和紙について分からない事にお答えする「和紙のQ&A」*****

 

手漉き和紙については見たことがある方もいらっしゃると思いますが、手漉きは簀桁(すけた)という道具を使って職人さんが一枚一枚漉いています。漉きあがって重ねた物を専用の道具で余分な水分を取っていきます。その後、金属製の乾燥機による乾燥か、もしくは昔ながらの板に貼り付けて天日乾燥を行って完成します。手漉き和紙には4辺に特徴的な耳ができ、板干しの場合は和紙の表面に薄っすらと板の目が見える事もあります。

 

一方機械漉き和紙は洋紙程ではありませんが、均一の和紙を大量に漉く事が出来ます。製造時には繋がった状態で漉かれていて、乾燥後に巻き取ってロール状にしています。あまり大きいと出荷し難いので和紙にもよりますが、大体50~100m巻きでまとめられる事が多いです。2辺に手漉き同様の耳が出来ます。

 

製造工程をかなり省いてご説明しましたが、このように機械漉きの和紙は大量生産が可能なので1枚あたりの単価が安く、その結果、手漉き和紙と機械漉き和紙の値段が違ってくるのです。

 

と、ここまでは一般的な話ですが、実際にはその先があります。

 

日本の中でもごく限られた機械漉き和紙メーカーさんで、地元産の原料に拘り、化学薬品を一切使わずに漉いている所があります。そこで漉かれた和紙は自然な艶感、透き通るような透明感やコシがあります。また機械漉きは、手漉きの様に少しだけ漉くという事が出来ないので、そのような高価な和紙を製造出来る所も限られています。和紙の業界ではよく、「上質な和紙をカッターなどで切る時には、シャーと高い音が出る」と言われています。このメーカーさんの和紙をカットする際には、いつもその違いを実感。強靭な繊維が、複雑に絡み合って出来ている証拠です。※弊社で常時取り扱っています。

 

一方で手漉き和紙であっても価格を抑える為に、原料を化学薬品で漂白し製造工程の簡素化をおこなって漉かれたものもあります。その他にも洋紙の原料でもあるパルプ(混入比率を増やす等)を入れて、お値打ち感のある和紙も市場では出回っています。誤解の無い様に言いますと、最も大切な事は用途に合わせて最適な和紙を選択する事なので、どの和紙が良い悪いという訳ではありません。安くても表情や質感が面白い和紙もありますし、何より気軽に使える事が嬉しいですよね。是非色々な和紙に触れて頂きたいなと思います。

 

つまり、機械漉き=安価な和紙というイメージがありますが、これは実際のところ、そうとは言い切れないのです。

 

私たちが和紙の品質を確かめる際にも、手漉きや機械漉きの判断ではなく、どのような原料をどのように処理をして和紙を漉いたのかを見ています。また、弊社では染色や加飾等の加工も行っているので、上質な和紙とそうでない和紙の違いが加工時に明らかになる事も多いです。参考になりましたら幸いです。

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